個人を活かす経理部体制のすすめ(上) ―経理スタッフの意義を見直すことから始めてみよう―
6/6

ず完了といった一方通行的なフローではありません。前述のようにインタラクティヴに活用することで,管理する側の立場からは見過ごしていた問題点が浮き彫りになる助けになると同時に,その問題点に対して提案された解決策を,部長が有効な支援を加えながらスタッフ自身に取り組ませることで,スタッフ自身の解決力を育むこともできるのです。このような流れを繰り返すことで,各スタッフが力を十分に活かし,その担当業務から経営そのものによい影響を与えるようなコスト削減策・利益向上策などが創出される,そんな体制が構築できるのではないでしょうか?一方,この例で仮定されているのは,経理部内の中堅クラスで向上心のある人なのですが,この仮定とは違い,経験年数が浅く,当面は担当業務をこなすことで精一杯の新人クラスへの対応はどうしたらよいでしょうか。このシートを使った面談の主旨としては,役職・社歴をフラットにして,全員同じ条件で面談を行うことなのですが,そのような新人クラスのスタッフは“課題点など見つけるゆとりなどない”と嘆いてしまうかもしれません。しかし,そんな場面に出会うことこそ,そのスタッフの成長を促す非常によい機会に巡り合えたと言えるのです。そのスタッフが思い悩んだ末に,それでも具体的な問題点やそれに対する解決策が出てこなかったとしても,そうやって悩むことがなければ,疑問点・課題点を見つけようなどと考えることもないまま,担当業務を黙々と繰り返すだけだったでしょう。こういったスタッフに対しては,中間管理職の手も借りながら,新人なりの仕事の意義を見つけられるように支援を施せばよいのです。たとえば,その新人スタッフが作成した資料がどのような場面で活用されているのかを教えたり,その役割を提示することで自らの行っている業務の意義を知り,将来的に他のスタッフと同じようにその業務に対する問題点,及びその解決策を提案できるように成長していくことでしょう。**次回はさらに,経理スタッフ1人ひとりの考え方・視点をフルに活かして,顧客・会社・自己の発展を実現するための,有効な働き方を模索していきます。・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*田村夕美子(たむら・ゆみこ)経理環境改善コンサルタント。FP会社NFPにて,経理を主体とした事務系コンサルタントとして,ビジネス誌・女性誌への執筆やセミナー活動に従事。その中でも,決算書の読解術をベースとした,独自開発プログラム“データ変換術”と多様なシーンで活用できる“表現術”を盛り込んだセミナーには定評があり,人事系のビジネス雑誌にも紹介されている。著作は,日経ウーマンネット『進化する!一般事務職』他多数。URLhttp://nfp.ccE-mailtamura@nfp.cc経営に強い経理部構築の提案6

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です