個人を活かす経理部体制のすすめ(上) ―経理スタッフの意義を見直すことから始めてみよう―
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さて,1つでもチェックが付いた方へ質問です。あなたが率いる経理部に,活気はありますか?また,前期の御社の業績はいかがだったでしょうか。もし及第点でなければ,本来のチカラを発揮できていないどころか,機能不全を起こしてしまっている可能性があります。3目指すのは“経営に強い経理部体制”の構築●たとえば,ある経理スタッフから,経理伝票を精査の際,特定の資材の仕入総額が,売上が増えているわけではないのに,前年比から見て著しく増額しているのを発見した,という報告を受けた場合には,できるだけ早い段階で仕入担当者から詳細を確認しなければいけません。過剰な在庫・半製品の発生,あるいは仕入システムの機能不全や,売上データを把握している営業部と資材担当との連携不足も考えられ,放置すればキャッシュ・フローの悪化にも繋がります。また,こういった大きな問題を発見するようなケースでなくても,毎日の実務の中で,もっぱら小口現金精算を担うに過ぎない末端の経理スタッフが,割安な交通手段を提案したり,事務用品をより安価に調達できるようにするために,納品業者との折衝を提案できるかもしれません。このような末端のスタッフが利益貢献できる規模は小さくても,1人ひとりの経理スタッフが各々の気付きを提案できる体制を浸透させれば,他部門のスタッフの機能についても,見直し,課題を浮き彫りにする機会も生まれ,企業全体の利益増に繋がるはずです。そのためには,経理部長としてのあなたの力を,経理部1人ひとりの活性化・役割分担の見直しといった,スタッフを支援する方向に向けることが重要です。あなた1人の目より,“経理部全体の目”で見たほうがより多くの経営改善策に気付けることは言うまでもないことでしょう。4個別面談をすることで経理部員の気付きを可視化する●◯1経理部面談シートの活用では具体的にどうすれば,個人の潜在能力を引き出すことができるのでしょうか?それには,まず経理部スタッフ1人ひとりが,日頃何を考えて仕事に取り組んでいるのか,何に問題点を感じているのか,等をヒアリングすることがその第一歩です。そこで,私が提案したいことの一つに,下記のような「経理部面談シート」の活用があります。あらかじめ記入する時間を十分にとったうえで,個人面談をします。こうすることで,日頃意見を述べる機会の少ない経理スタッフが戸惑わないようにすることができます。このシートの大きな特徴は,スタッフが日頃感じている問題点について,単に意見を述べてもらうのみではなく,どうしたら改善・解決ができるのか,自ら対策を練る機会を提供できる点があります。あまり権限のない末端のスタッフに,ここで的確な対策をすぐに打ち出経営に強い経理部構築の提案3

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